2018年 2018年

今後の展望

 浦和競馬場の70年の歴史は、その紆余(うよ)曲折をたどると正に日本の戦後史。その間、幾度の存続の危機を乗り越えてきたのは、時代に合わせ競馬場が進化し、多くのファン、地域から愛され支持され続けてきたからこそだ。その結果として2019年11月4日には地方競馬の祭典、ジャパン・ブリーディングファームズ・カップ(JBC)の初開催も決まった。主催する埼玉県浦和競馬組合はじめ関係者の努力の結晶でもある。10年後、20年後、100周年へ。同組合事務方トップの高山次郎副管理者に浦和競馬場の将来を語ってもらった。

エンターテイメントに

 夢が二つあります。浦和からスポーツエンターテインメントとしての競馬を発信したい。競馬場のイメージはまだまだギャンブル場、賭け事というイメージが先に立つ。私自身がそうだった。でも、それはここに来ればきっと変わる。ぜひ浦和競馬場に来てみてほしい。
 住宅街のど真ん中にドーンと広がる青空。さっそうと駆け抜ける美しい馬。「え、こんなに近いの」と皆驚く。馬の息づかい、光る汗、手綱を握る騎手の声も聞こえる。この迫力はすごい。大きな競馬場では味わえない五官で感じる醍醐味(だいごみ)。馬券を買わなくてもいい、食事もおいしい。走路内の公園は四季折々に花と緑で楽しませてくれる。馬が近い、空が広い、笑顔がいっぱいの浦和競馬場。身近な場所で楽しめる極上のスポーツエンターテインメント。そう、競馬はスポーツ。浦和競馬場で実際に感じてほしい。
 もう一つは埼玉県のさいたま市の地域の自慢、誇れる競馬場にしたい。さいたまスーパーアリーナや埼玉スタジアム2002のように。それには競馬場の持つ多面的機能を伝えたい。農林水産業ではないが、「浦和競馬はカキクケコ」。カは地域の活性化と言いたいところだが、あえて環境空間。1年のうち300日以上地域に開放されている公園としての機能。キは教育学びの場。馬も緑も子どもも手を掛け見守ってやらないと強く育っていかない。そんなことに気がつく。  クは暮らし。地域の暮らしの中に溶け込んで、誰もが憩い集える。競馬場は日常の暮らしそのもの。ケは健康づくり。健康遊具はもちろん、ジョギング、サッカー、グランドゴルフ。年配の方も若者も子どもも楽しんで健康になれる。そして、コはコミュニティー。地域との一体感。競馬場周辺の皆さんのご理解があっての競馬場。コミュニティーの一員としてその責任も果たしたい。
 競馬はその収益金を活用して地方財政へ寄与することはもちろんだが、それだけではない。浦和競馬の多面的機能を謙虚に発信しながら、100年後も地域の皆さんに寄り添い、地域の皆さんとともにある、安全安心で楽しい浦和競馬場であり続けたいと思っています。

※ 2018年3月21日(水)掲載

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  • 間近で「競馬」の感動を味わえる浦和競馬場イメージ
    間近で「競馬」の感動を味わえる浦和競馬場
  • 地域の憩いの場「円形花壇」イメージ
    地域の憩いの場「円形花壇」
背景
  • 100年後も地域の皆さんに寄り添い、
    地域の皆さんとともにある、
    安全安心で楽しい浦和競馬場であり続けたい。